東京都は、バイオ燃料の商用化を助成する事業で、航空に加え、鉄道・船舶分野における3事業の支援を決定した。9月4日に発表した。「脱炭素燃料活用における事業化促進支援事業」の2025年度分での採択案件になる。
同事業は、再生可能エネルギー由来のバイオ燃料の商用化に向けた事業を広く公募し、バイオ燃料開発事業者などの取り組みに係る経費の一部を助成するもの。2025年度は、これまで支援した分野(物流トラック、バス、建設機械、航空機、空港特殊車両)以外の新しい分野を募集した。助成率は対象経費の5分の4以内、限度額は8000万円。
採択された事業は以下の通り。「バイオ燃料使用促進のための地域連携/エンジン出荷運転のSAF導入」は、地域から集めた廃食油などを原材料としたSAF(持続可能な航空燃料)を、航空エンジン整備事業に活用する。事業実施者はIHI。
「バイオ燃料活用による鉄道分野での脱炭素実装化事業」は、リニューアブルディーゼル(RD)を鉄道用の保守車両および工事用重機械車両で使用する。代表者は伊藤忠エネクス、構成員は交通建設、JR東日本商事、東鉄工業、東日本旅客鉄道(JR東日本)、ユニオン建設。
伊藤忠エネクスは、フィンランドのリニューアブル燃料メーカーNeste (ネステ)からリニューアブルディーゼルを調達する。JR東日本は、ユニオン建設、東鉄工業、交通建設と連携し、鉄道用保守用機械や工事用重機械にRDを活用する。JR東日本商事は、供給・活用を管理する。期間は2025年10月〜2027年3月。主な線区は山手線、中央線、常磐線。年間走行距離は8000km、CO2削減量は約172tの見込み。
「東京港におけるShip to Shipを用いた船舶向けバイオ燃料供給事業」は、東京港を発着する船舶にバイオ燃料を供給する。代表者は、NX商事。構成員は、伊豆七島海運、NX海運、コスモ石油マーケティング、日本塩回送、藤井石油、マルエーフェリー。
NX商事の船舶向けバイオ燃料供給スキームを活用する。コスモ石油マーケティングが原料のA重油をNX商事に供給し、NX商事がA重油と廃食用油由来のバイオ燃料を混合・貯蔵した燃料を構成員企業各社に供給する。