環境問題に関する科学的調査・研究や政策提言に取り組む非営利団体(NPO)である地球・人間環境フォーラム(GEF)は8月28日、固定価格買取制度(FIT)で売電する「輸入木質バイオマス発電」の課題について理解を促すための最新動向やデータを提供するWebサイト「バイオマス発電info」を公開したと発表した。
同サイトは、主にメディア関係者および再生可能エネルギーに関心のある事業者や金融機関を対象に、FITで売電する輸入木質バイオマスが、再生可能エネルギーとして「持続可能」なのかを検証するための情報を提供する。気候変動、生産地、FITの3つの軸から、輸入木質バイオマス発電の課題について解説する。
具体的には、木質バイオマス発電のCO2排出量やエネルギー効率を解説し、気候変動対策としての有効性を検証する。また、日本のバイオマス発電の燃料生産地であるベトナムやカナダで起きている環境・社会への影響を解説する。FITの狙いである、再エネ普及による環境負荷低減や地域活性化が実現されているのかを検証するという。
このほか、国内外のバイオマス関連の最新ニュース、セミナー・イベント情報などを更新する。より深いリサーチに利用できる参考資料を「よくある質問」「キーワード集」としてまとめ、データベース化する。
GEFによると、木質バイオマスの燃焼によるCO2排出量は石炭より多く、企業の国際的な炭素会計基準であるGHG(温室効果ガス)プロトコルなどでは算定・報告を求めているが、FITではゼロカウントとされている。また、海外の燃料生産地では、原生林や天然林の伐採とペレット生産の関係、ペレット工場での膨大な環境法令違反などが明らかとなってきている一方、FITの見直しは遅れており、すでにバイオマス発電への投融資が進んでいるのが現状という。