パナソニックは12月3日、英国子会社のパナソニック マニュファクチャリングイギリス(PMUK)が電子レンジ組み立て工場に、純水素型燃料電池、太陽光発電、蓄電池を組み合わせた「3電池」を連携制御する再生可能エネルギー自家発電の実証設備を導入し、試運転を開始したと発表した。
PMUKの実証サイトには、5kWの純水素型燃料電池21台と、容量1MWhの蓄電池を新設した。社屋の屋根に設置された合計760kWの既設太陽光発電設備のうち312kW分と組み合わせて、電子レンジ組み立て工場で使用する。3電池の連携制御を行う実効性の高いシステムの開発および有効性を検証していく。
燃料電池は、21台を連携制御することで運転時間を平準化し、無停電メンテナンスを可能にするなど保守性を高める。燃料には、英国内で製造された再エネ由来の水素を使用する。さらに発電時に発生する熱を工場内の暖房と給湯に利用するコージェネレーション(熱電併給)システムによりエネルギー効率95%を目指す。
電子レンジ組み立て工場のピーク電力需要は約280kW、年間消費電力は約1GWhの見込み。工場のロードカーブ(負荷曲線)と英国の気象変化に追随するエネルギー管理システム(EMS)を構築し、2025年3月末までに安定して再エネを供給するEMSの運用を開始する。必要な電力を100%再エネで供給する運用を目指す。
またパナソニックは同日、水素を活用するエネルギーシステムの総称として「Panasonic HX」の名称を発表した。名称には、環境負荷の少ない水素(H)の本格活用という新たな選択肢を提案し、パートナー企業や行政、ビジネス顧客とのコラボレーション(X)によって、脱炭素社会へのトランスフォーメーション(X)に貢献するという意図を込めたという。
純水素型燃料電池に太陽光発電と蓄電池を組み合わせた3電池連携制御や、水素による発電時の排熱を効率的に活用するシステムなどを対象に使用する。PMUK実証サイトを皮切りに水素事業の販促や告知活動などで活用し、環境先進地域である英国や欧州市場での認知拡大を目指す。将来的には、環境貢献事業を牽引するフラッグシップとして、グローバル展開していく予定。