経済産業省は、GX(グリーントランスフォーメーション)分野製品の生産に係る設備投資を補助する「GXサプライチェーン構築支援事業」について、2024年12月18日に第1回公募(水電解装置・燃料電池)、同年12月25日に第2回公募(ペロブスカイト太陽電池)の採択者を発表した。
同事業は、カーボンニュートラル(脱炭素)の実現に不可欠となる水電解装置、燃料電池、ペロブスカイト太陽電池、浮体式など洋上風力発電設備を対象とした設備製品の国内での生産体制を世界に先駆けて構築することを目的としたもの。補助対象は、当該製品を製造する工場で使用する設備機械装置、建物などの取得費(新設、建て替え、リフォーム含む)、システム購入費。補助率は、大企業が3分の1以内、中小企業などが2分の1以内。予算額は4212億円(2028年度までの国庫債務負担含む)。
第1回公募は、水電解装置と燃料電池を対象とし、事業期間は2024年6月28日~2029年3月31日。採択事業者と補助金交付額(上限)は、本田技研工業(燃料電池、燃料電池システム)が147億7966万6666円、トヨタ自動車(燃料電池スタック、モジュール)が112億5460万5000円、東レ(水電解装置部素材、電解質膜)が186億6666万6666円、旭化成(電解セル、電解用膜)が114億2700万円。
採択事業者のうちトヨタ自動車は、各地域の行政、乗用・商用メーカー、車両を使用する顧客などと連携して燃料電池市場の創出に取り組み、2030年に商用トラック市場において、特に需要が見込まれる欧米の燃料電池市場に向けて7.5万基の供給を目指す。水電解装置では、2030年頃に累計3GWの事業規模を目指し、急拡大する国内外の水素製造市場に対応するという。
旭化成は、同社川崎製造所に、電解用枠および電解用膜についてそれぞれ2GW以上の年間生産能力を持つ製造設備の新規構築を目指す。設備投資額は総額350億円規模。同生産設備は、グリーン水素製造用製品とともに、同社のイオン交換膜法食塩電解プロセス用の電解用枠および電解用膜も併産できる生産体制とし、2028年度に稼働する計画。既設の食塩電解プロセス向け設備の生産能力と合わせて、少なくとも年間3GWに対応可能な製造能力を達成するとしている。
第2回公募は、ペロブスカイト太陽電池と浮体式など風力発電設備を対象とし、事業期間は2024年9月17日~2029年3月31日。採択事業者と補助金交付額は、積水化学工業(フィルム型ペロブスカイト太陽電池)が1572億5222万5000円、片岡製作所(ペロブスカイト太陽電池のレーザー加工装置)が34億3660万4000円。
積水化学は、大阪府堺市にあるシャープの本社工場や電源設備、冷却設備などを約50億円で取得し、2027年から年産100MW規模での量産を開始する。同工場への投資総額は約900億円で、シャープからの取得費用のほか、650億円を新たな生産設備に投資する。
同社では今後、堺の新工場に順次、追加投資を行い、2030年までに年産1GWにまで生産規模を拡大する。