川崎重工業は、神戸市にある同社神戸工場において、水素を30%の割合で混焼できる大型ガスエンジン発電設備の運用を開始したと発表した。定格出力は7.5MWで、体積比30%の水素が適用可能な出力5MW超の大型ガスエンジン発電設備の運用は国内初という。
同社は、高効率・低NOx(窒素酸化物)をコンセプトとした天然ガス・都市ガス燃料のガスエンジン「カワサキグリーンガスエンジン」を自社開発し、発電設備を展開している。また、カーボンニュートラル(脱炭素)への社会的な要請の高まりを受け、ガスエンジンに水素を適用する技術開発に取り組んでいる。
今回、水素を30%混焼するガスエンジンの実証を目的に、神戸工場で稼働している都市ガスを燃料とする大型ガスエンジン発電設備を水素混焼仕様へ改造した。一連の試運転を完了し、都市ガスまたは最大30%の水素と都市ガスの混合燃料が適用可能なガスエンジン設備として運用を開始した。
燃料となる水素は、岩谷産業から購入する。今後、同設備で発電した電力を自家消費し、水素供給やメンテナンス性などの運用面を検証していく。また、2025年にカワサキグリーンガスエンジンの水素混焼モデルの市場投入、および顧客に既に納入したガスエンジンに対する水素混焼の改造工事を展開する予定。
この他にも同社は、出力5MW以上の大型ガスエンジンにおいて、水素100%を燃料として、CO2を発生せずに安定した燃焼を実現できる技術を開発した。今後、2030年頃の商品化を目指し、製品実装への最適化と設計を進めていく。
内燃機関への水素燃料利用のニースが高まっており、ガスタービンの水素混焼については、三菱重工業が高砂製作所で開発・実証を進めている(関連記事:三菱重工、大型ガスタービンで水素30%混焼に成功) 。