日本紙パルプ商事は9月2日、同社のグループ会社で木質バイオマス発電事業を手掛ける野田バイオパワーJP(岩手県野田村)が、岩手県野田村と「災害時における木質バイオマスによる電力供給に関する協定」を締結したと発表した。
同協定に基づき野田バイオパワーJPは、災害や停電が発生した際に野田村からの要請に応じて、木質バイオマス発電によって蓄電した可搬型蓄電池を指定避難所に無償で提供する。東日本大震災を経験した地域への支援活動の一環で、地域で生産された再生可能エネルギーを地域で活用する「エネルギーの地産地消」の推進にもつながると説明している。
蓄電池は2基用意し、発電所から3km圏内の指定避難所である野田小学校および野田中学校に提供する予定。蓄電池1基あたりの容量は12.876kWh、出力は10.3kWで、テレビ(100W)なら約103時間分、携帯電話の充電のみであれば数日分に相当する。
野田バイオパワーJPが運営する木質バイオマス発電所は、2016年8月に営業運転を開始した。出力は14MW、年間発電量は約2万6800世帯分に相当する9648万kWhの見込み。オーストリア・アンドリッツ製の流動層ボイラーを採用する。
燃料には未利用材、パーク(樹皮)、剪定枝、パームヤシ柄(PKS)を用いる。調達先は、主に岩手県内産の国内材が97%、輸入材が3%。発電した電力は、固定価格買取制度(FIT)に基づき売電する。買取価格は未利用材が32円/kWh、一般材が24円/kWh。買取期間は、2036年までの20年間。
野田バイオパワーJPは、2017年5月に、岩手県森林組合連合会と「森の『のんちゃん』森林づくり基金」の協定を結んでいる。同基金は、再造林などの森林整備、林業人材育成などに要する経費を一部助成する基金で、枯渇しない森林資源の確保をすることを目的として設立した。